「人はやって見せ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」
有名な山本五十六氏の言葉です。
私は仕事をする中で、この言葉を何度も実感してきました。
どれだけ正しいことを言っても、
ただ指示や命令をするだけでは、人はなかなか動きません。
まず自分がやってみせる。
なぜそうするのかを伝える。
本人にやってみてもらう。
そして、できたことを認める。
仕事でもそうでしたし、
最近は子育ても同じだなと感じています。
娘は昔から「書くこと」が苦手です。
計算は頭の中でやりたい。
途中式は省略したい。
ノートを書くのは面倒。
算数もできるだけ頭の中で解こうとします。
低学年のうちはそれでもなんとかなりました。
でも小4になり、少しずつ状況が変わってきました。
問題文は長くなり、計算は複雑になり、桁数も増えてきます。
最近のテストを見ていると、
「あれ?理解はしているのに、
書かないからミスしてるじゃん」
という問題が増えてきました。
考え方は合っている。
でも途中で数字を取り違えたり、暗算の計算を間違えて
失点しています。
私はなんとか
「そろそろノート書いたほうがいいんじゃない?」
と伝えてきました。
でも娘もは響きません。
当然ですよね、
だって本人はまだ必要性がわかっていなかったからです。
そこで、いうだけでは伝わらないと感じた私は
考えました。
「そうだ。まず私がやってみよう」と。
ちょうど算数の次回テスト範囲を確認したかったので、
演習問題集を自分で一通り解いてみた時に、
娘に見せるつもりでノートを書いてみました。
左上にはページ番号。
どの教材のどのページか。
問題番号を書く。
途中式を書く。
間違えた跡も残しておく。
後から見返して分かるようにポイントも書く。
そんな当たり前のことをやってみました。
実はそれまで、
夫が買ってきてくれた
使い捨てのメモ帳に計算を使っていました。
気軽に使えて便利です。
でも私は少しだけ気になっていました。
捨ててしまうから見返せない。
どうせ捨てると思うと字も雑になっている。
でも夫がせっかく考えてくれた仕組みなので、
そのまま使っていました。
ところがある日、
夫が「メモ帳だけどノート型」というものを買ってきたのです。
これはいいかもしれない。
そう思いました。
後日、
娘に質問された問題を解説するとき、
私は以前自分で書いたノートを持ってきました。
そして、
「ママ、この時こう考えたんだよ」
とノートを見ながら説明しました。
すると驚くほど説明しやすいのです。
以前は一度解いて、忘れて、
娘に聞かれたらまた解き直していました。
でもノートがあると違います。
過去の自分が何を考えていたのか残っています。
どこで悩んだのか。
どうやって解いたのか。
全部書いてあります。
娘もその様子を見ていました。
きっと、
「ノートってこうやって使うんだ」
と思ったのではないでしょうか。
そのタイミングで私は娘に話しました。
「ノートを書くと勉強が楽になるんだよ」
「あとで見返すときすごく楽になるよね」
「それにね、間違えた跡も残しておくんだよ」
「ママがどこで間違えたか分かるでしょ?」
「そうすると、娘も同じところで間違えるかもしれないって気付けるんだよ」
「テスト中の途中式を書く練習にもなるしね」
娘は黙って聞いていました。
「3年生までは暗算でもなんとかなる問題が
多かったかもしれない」
「でもこれからは違うと思う」
「桁数も増えるし、複雑な計算も増える」
「だから、書く練習をすると
成績もたぶん改善していくと思うんだ」
「ゆっくりでいいから書いていこうよ」
「最初からきれいに書ける人なんていなし」
「一緒にやっていこうよ」って。
すると娘は「じゃあやってみる」と受け止めてくれました。
これまでずっと拒否していたので、正直驚きました。
ノートを書くことへの拒否感が減った気がします。
実際に始めているとそれはもう大変です。
普通に計算してもらえば3分で終わりそうな問題を、
ノートに書きながらやると15分くらいかかります。
「どこに書くの?」
「この式でいい?」
「見やすいかなぁ?」
そんなことを一緒に確認しながら進めました。
1時間で数問しか進んでいないという状況です。
ものすご非効率です。
でも書かないとかけるようにならない。
赤ちゃんが最初から
大人のようにスマートに歩けるはずはありません。
そして娘が書き終わったとき。
私はこれでもかというくらい褒めました。
「すごいじゃん!」
「ちゃんと途中式残っているね」
「これならあとで見返せるね。」
「間違えたところだけ、解き直しすればいいかもね!」
娘も満足そうでした。
そして翌日。
私が何も言わないうちに、
「ノートに書くんでしょ?」
と、自分から書き始めたのです。
もちろん完璧ではありません。
字も雑ですし、うっかりミスもありますし、
時間もかかります。
でも以前のような強い拒否は
なくなりました。
人は命令では動きません。
特に子供はそうではないでしょうか。
まずはやって見せる。
なぜ必要なのか伝える。
本人にやってみてもらう。
そしてできたことを認める。
でも自分で納得して始めたことは、
少しずつ週間になっていく。
仕事も子育も、同じなのかもしれません。